胃腸風邪とも呼ばれる、感冒性胃腸炎。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や、
風邪ウイルスで知られるライノウイルスとの関係は、どんな部分にあるのでしょうか。
今回は、感冒性胃腸炎とウイルス感染症の関連性や、
感冒性胃腸炎にかかった際にできる対処法などについてお伝えします。
感冒性胃腸炎は、感染性胃腸炎のこと
最近では「感冒性胃腸炎」という名前よりも、
「感染性胃腸炎」という名前の方が一般的に多く用いられるようです。
昔は「風邪菌がお腹にうつった」と考えられており、風邪=感冒という言葉が使われて
いましたが、現在では胃腸炎を起こすウイルスは一般的な風邪ウイルスとは異なることがわかっています。
この胃腸炎は、細菌や寄生虫によって起こることもありますが、
そのほとんどはノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスによるものと言われています。
ノロウイルスの感染経路は、
カキやアサリなどの二枚貝からの感染が主だと思われがちですが、
実際に多いのは感染者からの二次感染です。
このように食べ物や人からウイルスをもらってしまってから24〜48時間の潜伏期間を経て、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの症状が出てきます。
消化器系が死ぬと絶望だからなぁ
インフルエンザは余裕だけどノロウイルスは死んだほうがマシなぐらい辛かった— ゆか (@ykrrrrr) May 20, 2016
https://twitter.com/haramaki_0217_/status/759702232069578752
このように、ノロウイルスの症状は死ぬほどつらいと言われますが、
実は体力のある人なら、数日で治まってしまいます。
ただ、その後の菌の排出は発症から一週間〜それ以上続くため、
周囲で感染者が出たら、二次感染予防が重要となります。
ライノウイルスで胃腸炎になる?
風邪のウイルスとして代表的なものがライノウイルスですが、
これは「感冒性胃腸炎」の原因となるのでしょうか。
答えは、「NO」です。
ライノウイルスは、人の喉や鼻の粘膜に付いて炎症を起こしますが、
33℃以上では増殖できないために、それ以上身体の深いところへは侵入が不可能だからです。
つまり、胃腸に辿り着く前に死滅してしまうウイルスだということですね。
ライノウイルスの症状は喉の痛みや鼻水など、上気道の炎症が主です。
もしも、それらの症状と同時に下痢や嘔吐が起こっている場合は、
ライノウイルスと同時にノロウイルスにも感染しているかもしれません。
ライノウイルスとノロウイルスには共通点もあります。
それは、両方とも飛沫感染や接触感染すること、
体外から出たウイルスが数時間もの間生き続けるため、二次感染しやすいこと。
また、潜伏期間がライノウイルスは1〜3日、
ノロウイルスは1〜2日と近いこと、
両方ともアルコールでは死滅しないという特徴も共通しています。
つまり、ライノウイルスに感染しやすい状況にいると、
ノロウイルスにも感染しやすいと言えるため、同時に感染してしまう可能性が高いのです。
そのため、鼻や喉の風邪と胃腸炎を同時に起こす人が多いのですね。
ノロウイルスから早く回復するためには
ノロウイルスに感染した時には、
どうすれば回復を早めることができるかご存知でしょうか。
まず、下痢止めや吐き気止めなどの薬は飲まない方が良いです。
下痢も嘔吐も、体内のウイルスをより早く排出するための防御反応ですから、
止めずに出せるものは出し切った方が回復が早まるからです。
吐き気が強いうちは無理に固形物を摂る必要はありません。
結局吐いてしまうことになるので、食欲が湧くまでは、水分のみで過ごしても大丈夫です。
下痢や嘔吐がおさまってきて、
少しでも食べられそうになったら、
お粥、筋の少ない野菜を柔らかく煮たものや、
お豆腐、身がほぐれやすい白身魚などを中心に、消化の良さを重視した食事を摂りましょう。
ノロウイルスにはワクチンや特効薬が無いため、
回復のためにはウイルスの排出を早める、そして身体がウイルスに対抗できるように栄養を摂ることが大切なのです。
まとめ
感冒性胃腸炎の原因となるノロウイルスのお話を中心に、
感染経路がよく似たライノウイルスにも触れながらご説明しました。
これらの二つのウイルスの特徴が似ているということは、
予防策も共通すると考えられますよね。
まず、飛沫感染や接触感染を防ぐために、
外出後はうがいや手洗いをしっかり行うこと。
こちらに正しい手洗い方法の動画がありますので、参考にして下さい。
ガチャピンとムックが教えてくれるので、お子さんでも覚えやすいですね。
あとは、身体の免疫力を高めるために規則正しい生活を送り、栄養のあるものを
しっかり食べ、衣類などを清潔にして過ごせば、感染リスクはかなり減らすことができます。
感染してからの対処よりも、予防の方が断然労力が低いものです。
秋〜冬の流行期が来る前に、予防策を万全にしておきたいですね。