免疫力の向上が重要視される昨今ですが、そのせいか、
免疫細胞の一つである「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」という名前をよく耳にするようになりました。
このNK細胞が身体にとって重要だとは言われていますが、
具体的にはどんな働きをするものなのでしょうか。
今回は、ナチュラルキラー細胞についてのお話です。
ナチュラルキラー細胞とは?
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は白血球にある免疫細胞の一つで、
その名前からわかる通り、体内を巡りながらガン細胞やウイルスに感染した細胞を見つけては殺す働きをするものです。
免疫細胞にはマクロファージやT細胞、B細胞などたくさんの種類がありますが、
これらはお互いに影響し合い、単独では免疫細胞として働かないものなのですが、
NK細胞は単独でも働くことができるうえに攻撃力が高いとされる免疫細胞です。
人間にとって恐ろしい病気であるガン細胞は、
実はガン患者でなくても体内で生み出されているものです。
それがガンを発症せずにいられるのは、NK細胞による働きが大きいと言われています。
NK細胞は、体内でガン細胞を見つけるとすぐさま攻撃し、
身体の組織がガン化するのを防いでくれるからです。
このように、NK細胞は人の健康を守るために大変重要なもののため、
増やすための方法が研究されているのだそうです。
NK細胞の数には基準値は無く、高くても良いことばかりではない
実は、NK細胞は多い方が良いとは言われていますが、
基準となる「正常値」というものはありません。
個人差が大きいもののため、大きくても小さくても「異常」と見なすことはできないのです。
NK細胞を調べる検査は個数を調べるのではなく、
血液中の白血球にどれだけの割合のNK細胞が含まれているかを調べます。
検査方法は、血液を採取して専用の機械にかけ、
細胞に反応する「モノクローナル抗体」というものを用い、その割合を調べます。
一般に多く見られるのは18%〜40%ですが、それより低い人もいれば高い人もいます。
低いことによって感染症やがんにかかりやすくなる可能性がありますが、
この数値は変わりやすく、
低くても病気にかかりにくい人や、高くても風邪を引きやすい人もいます。
そのため、「数値が低いから即治療を」とまではなりません。
通常の人の場合は多ければ多い方が良いという考えが一般的ですが、
NK細胞は妊娠しても育たない不育症の原因になるという説もあります。
活発過ぎるNK細胞が赤ちゃんを異物と見なして、攻撃してしまうのだそうです。
一般的な数値よりもNK細胞が多く、
不育症が疑われる場合は投薬によってNK細胞を下げる治療が行われます。
活性化させるためにはどうすればいい?
不育症などについて考える必要が無いという前提で、
NK細胞を活性化させるのに良いと言われている方法をいくつかご紹介します。
まず、乳酸菌を摂取すること。
NK細胞を含む免疫細胞の7割は腸にあると言われていて、
善玉菌を増やし腸を健康にすると、NK細胞も活性化すると考えられています。
ヨーグルトやキムチ、ぬか漬けなどを摂ることで乳酸菌は摂取できますが、
その大半は消化の過程で失われてしまいます。
生きて腸まで届くように加工されたものがおすすめです。
プロバイオティクスと書かれたものを選びましょう。
また、意外と有名なのが「よく笑う」ということ。
たくさん笑うとNK細胞を活性化する神経ペプチドがたくさん発生するため、免疫力が高くなるのです。
NK細胞を活性化させるためには、一日に100回笑うと良いと言われています。
「それって多くない?」と思われがちですが、子供は一日に300回笑うそうなので、不可能な数字ではありません。
お笑い番組などを見てお腹の底から笑うと、
身体も健康になるし気分も楽しくなって一石二鳥ですね。
あとは、無理のない範囲でウォーキングなどの軽い有酸素運動を習慣にすること。
ただ、気まぐれに無理な運動をすると、却って免疫力が低下するので軽めの運動を毎日続けることが大切です。
乳酸菌の効果についてはこちらの記事もご参考に!
まとめ
NK細胞はガンの治療の分野で研究が重ねられていて、
ただ増やしてガンを退治するだけではなく、ガン細胞そのものをNK細胞に変える治療も研究されています。
これだけ身体に有用なNK細胞ですが、
やはり多すぎると妊娠しにくくなるなどの悪影響が示唆されているため、
ただ闇雲に増やせば良いというわけではないようです。
でも、妊娠や出産を考えている人でなければ、NK細胞は良いものだという認識で問題なさそうです。
どんどん笑って、どんどん腸内環境を良くして、病気に負けない身体を作りましょう。