RSウイルスの症状で大人の場合は咳(せき)に要注意とは、
いったいどのようなことなのでしょうか?
RSウイルスの予防法を紹介します!
RSウイルス感染症とは
RSウイルス感染症は、マイコプラズマ肺炎と同じく、
寒い冬に増える代表的な急性呼吸器感染症の1つです。
RSウイルス感染症は、
RSウイルスというウイルスに感染することで発症します。
RSウイルスは世界中に分布しているウイルスで、
2歳までにほぼ100%の子どもがこのウイルスに感染するといわれています。
初めて感染した場合は重症化しやすく、
細気管支炎や肺炎などを起こす恐れもあります。
RSウイルス感染症は、毎年冬に流行する病気といわれていたのですが、
2011年以降より7月から少しずつ増加する傾向にあるようです。
RSウイルスの感染経路
RSウイルスの感染経路としては、
感染者の咳やくしゃみを吸い込むことで感染してしまう飛まつ感染、
ウイルスの付いた手やコップなどを触れたりすることによる接触感染があります。
したがって、乳幼児のRSウイルス感染を防ぐには、
食器やおもちゃの共有などはなるべく避けるようにして、
手に触れたものは消毒してあげるようにしましょう。
RSウイルスの潜伏期間
RSウイルスの潜伏期間は2~8日ぐらいで、
その後咳や鼻水や発熱といった風邪に似た症状が表れます。
感染者の約7割は、
そのまま数日から1週間ぐらいで症状がおさまってくるのですが、
咳がひどくなったりして呼吸がしづらくなって
肺炎や細気管支炎など重症化してしまうこともあるのです。
入院しなくてはいけないぐらい重症化するケースは
全感染者の1~3%ぐらいですが、
肺炎や細気管支炎などの症状が出た場合は、
早めに病院へ行って診察してもらいましょう。
RSウイルスに大人が感染してしまったら・・・
RSウイルスは大人でも感染してしまうことがあるのですが、
すでにRSウイルスに対しての免疫ができているので、
感染したとしても咳や鼻水など軽い風邪に似た症状が出るぐらいなのです。
しかしながら、RSウイルスに感染した子供と
接する機会が多い家族などは重症化しやすく、
気管支炎や肺炎を起こしやすいことも報告されています。
重症化してしまった場合、
38度以上の熱が5日ぐらい続くこともあります。
また、高齢者がRSウイルスに感染してしまった場合、
急性下気道炎の原因になることもわかっています。
今現在、RSウイルス感染症に対する認知度はそれほど高いとはいえず、
妊婦を対象とした調査では7割以上がRSウイルス感染症について
名前すら聞いたことがないという結果が出ているようです。
さらに、2歳未満の乳幼児を持つ両親への調査では、
6割以上がRSウイルス感染症がいったいどんな病気かも知らないという結果が出たのです。
RSウイルスに妊娠中に感染してしまったら・・・
RSウイルスは、トキソプラズマ症、風疹、サイトメガロウイルス、
単純ヘルペスウイルスなどとは違って、
妊娠中に感染したとしても胎児に直接影響はないのです。
ただし、大人のRSウイルス感染症は症状が風邪に似ていて軽いとはいえ
妊娠中は体力が落ちていることが多いのでいつも以上に注意しなくてはいけません 。
妊娠中は薬の服用に対してとても慎重になると思いますが、
妊娠中と告げた上で病院から処方された薬であれば服用しても全く問題はありません。
どうしても薬は服用したくないという人は、
のどの痛みを和らげるトローチ、ビタミンを含んだサプリメントや
飲料などを取り、栄養と休息を十分にとり安静にして回復を待ちましょう。
また、出産後の新生児は、授乳するときなどに
RSウイルスに感染してしまう恐れがあるので、
出産までに完治させるようにしておきましょう。
まわりへの感染に注意
大人になってからRSウイルスに感染した場合、
感染したことに気づかずただの風邪だと思いいつも通りに生活すると、
知らないうちにまわりの子供や乳幼児にうつしてしまう恐れがあるのです。
まわりへの感染を防ぐためにもRSウイルス感染症の具体的な症状や
治療法をきちんと理解しておくことが重要になります。
RSウイルス感染症の予防方法
RSウイルス感染症には、今現在まだワクチンなどの予防法はなく、
飛まつ感染や接触感染を避けることがもっとも大切なことなので、
日常生活の中でいろいろな工夫をしていきましょう。
RSウイルスの飛まつ感染や接触感染の予防方法として以下のようなものがあります。
消毒
こまめに消毒してあげるようにしましょう。
手洗い
RSウイルスは石鹸やアルコール、
塩素系消毒薬などに弱いという特徴があります。
アルコールでの手指の消毒をきちんと行いましょう。
マスク
風邪のときと同じように飛まつ感染の予防にはマスクが効果的です。ウイルスに感染している乳幼児を抱っこするときや
授乳をおこなうときも、なるべくマスクをしておこなうしましょう。
抱っこにも注意
RSウイルスに感染している子供や乳児・新生児を抱っこすると
服にウイルスが付着するので、
感染している可能性のある子供を抱っこするときは、
上着やエプロンなどの服を上に羽織るようにしましょう。
最後になりますが、ここ最近では薬によるRSウイルス感染症の予防も
少しずつ行われるようになってきました。
早産児、気管支肺異形成症の治療を受けたことがあったり、
先天性心疾患があったり、
免疫不全やダウン症候群の新生児や乳幼児は、
遺伝子組み換え技術を用いて作られた「パリビズマブ」「シナジス」
という、モノクロナール抗体製剤(対RSウイルス単クローン抗体)の投与対象となっています。
モノクロナール抗体製剤の投与は、
筋肉注射で、RSウイルス感染症の流行初期から1ヵ月ごとに行われます。
投与することで入院率の低下も確認されており、保険の対象となっているのです。